卒業式袴の定番!レトロモダンな矢絣柄って?
卒業式の袴に合わせる二尺袖の着物。
様々な柄がありますが、その中でもレトロで可愛い見た目から
根強い人気を誇る「矢絣(やがすり)」柄をご存じですか?
近年の袴の流行が「レトロモダン」であることもあり、
矢絣も人気急上昇中!
今回はレトロで可愛い矢絣柄の袴スタイルについて徹底解説します!
矢絣ってどんな柄?
「矢絣」とは矢羽根、いわゆる弓矢の羽根をモチーフとした
絣(かすり)の織物のこと。
「矢羽根模様」とも呼ばれ、柄の大きさや矢羽根の向きが一方向
または1~2列ごとに反対向きになるものなどパターンも豊富です。
縁起物とされる破魔矢の羽根が描かれる矢絣には、
「不幸や災いなどの”魔”を破り、幸せを射抜く」という意味もあるため、昔から親しまれています。
また「一度放った矢は戻ってこない」ことから、
当時「出戻りせず幸せに過ごして欲しい」という願いをこめて嫁入り道具にも使われていました。
矢絣が人気な理由
元々明治時代から大正時代にかけて、多くの女学生が学生服として矢絣の着物に袴を着用していました。
真っ直ぐ進む矢から「卒業後は後に戻ることのないように」という意味で矢絣の着物を着る学生が多くいたとのこと。
また江戸時代には、大奥の女性たちが矢絣の着物を好んで着用していたそうで、江戸女性憧れの柄でもありました。
昔から人気だった矢絣柄へさらに人気の火をつけたのが90年代にヒットした人気漫画「はいからさんが通る」。
漫画で主人公が着ていたのが矢絣の着物と袴!
そのレトロでおしゃれな袴姿に影響を受けた当時の女子大生たちが卒業式で矢絣の着物に袴を着るようになり、定番の装いになりました。
また矢絣は男性にも人気がありました!
力強く、まっすぐ飛んでいく矢は魔除けの効果があるとされ、
矢絣の着物を好んで着る男性も多かったそう。
矢には男の子がたくましく健やかに成長するようにという意味がこめられており、端午の節句を祝う着物や袴にも矢絣や弓矢の模様が入ったものがあります。
さらに矢絣には「季節問わず着用できる」というメリットも!
通常、着物は着る時期やイベントに合わせて、
その季節に合った花やアイテムの描かれた着物を着ていく必要のあるときがありますが、矢絣ならその点を気にすることなく着ることができます!
袴や着物はとても高価な買い物になるので、着回し力の高さはお財布にも優しいです♪
そんなわけで矢絣は縁起の良さやレトロでおしゃれな見た目から、今も昔も人気のある柄なんですね。
番外編 レトロモダンって何?
「流行のレトロモダン」と聞くけれど、レトロモダンとはどんな袴のことを指すのでしょうか。
レトロモダンについて厳密な定義があるわけではありませんが、
着物や袴における「レトロ」は明治維新後~太平洋戦争前のものを表すことが多いです。
それに対し江戸時代以前の柄などは古典的と表現されます。
元々レトロモダンという言葉には、
「古風で懐かしいものに現代的なアレンジを加えたもの」という意味があります。
その意味から、少し古風(レトロ)な模様に現代的(モダン)なアレンジを加えた着物や袴のことを「レトロモダン」と表現しています。
ですが実はレトロモダンは柄だけではなく、
色合わせや全体のコーディネートでも表現することができます。
例えば
- 着物、袴の柄はレトロにして、色合いはモダンなものにする
- レトロな袴に、帯や半衿はレースなどを使った
現代的なイメージのものを合わせてみる - モダンな雰囲気の袴や着物にレトロチックな小物を
プラスする - あえて髪型はレトロな大正時代風にしてみる
など少しアレンジするだけで一気に「レトロモダン」なスタイルになれちゃいます!
今年・来年と「レトロモダン」の波はまだまだ続くので、どんな袴にしようか迷っている方はぜひ一度レトロな袴を見てみて下さい!
いかがでしたか?
着物や袴には矢絣のようなレトロな柄の他にも様々なものがありますが、その多くにはいろんな意味があります。
新たな門出となる卒業式、意味をこめた袴姿で一生の思い出を作るのも悪くないかもしれません。
後悔のないように、いろんな着物や袴を試してみて下さいね♪